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ラジオ制作Ⅰ 平成20年度授業リポート

~イメージの共有が生みだす音の世界~

■苅谷綾美 (平成20年度放送学科1年)
 ラジオは、全てが音で表現される世界です。私は専攻で、その世界をいかに創り出すかを学んでいます。
 後期に制作したラジオドラマ「紫の影」(橋本孝良・作)では、ディレクター(演出)を担当し、演劇学科の演技コースや音楽学科の作曲コースのみなさんと協力し合い、作品制作に取り組みました。
 この制作の中で、チームワークの大切さを学びました。
 作品制作は、一人では行えません。役者、作曲者、制作スタッフ、それぞれの力が集結して初めて作品は形になっていきます。
 形になるまでに一番苦労したのは、チームのメンバーに私のイメージを共有してもらうことでした。
 芝居の稽古をする中で役者の演技から伝わる作品のイメージ、作曲者の方がパイロット版で制作してくれた劇判に込められた作品のイメージ。相手から様々な形で投げかけられるイメージを受け止め、自分の中のそれと照らし合わせて、今度は自分から相手に投げかけていく。そのやり取りの中で自分の演出意図を理解してもらい、最終的に自分の思い描く作品に近づけていく。この作業に、とても苦労しました。
 でも一方で、音がひとつ、またひとつとできあがっていくことが嬉しかったです。
 その嬉しさを他のスタッフと一緒に感じられたことも、とても大きなことでした。
 誰が欠けても、今回の作品はでき上がらなかったと思います。みんながそれぞれの責任を持ってやり遂げたからこその一体感。最後にはメンバー全員が満足のいく作品を作り上げることができました。

~みんなでつくりあげた朗読会~

■山本千恵 (平成20年度放送学科1年)
 一年生の後期から専攻授業が始まりました。スタジオ機材の動かし方や基本的なスタジオワークを教わって少し経った頃、新しい課題が出ました。それは、大学に隣接する児童館の児童を相手に、朗読会を開くというものでした。
 今回は専攻を受講する学生全員でこの課題に取り組み、学外の人たちに向けて発表するというもので、これまでの課題とは取り組み方も発表方法もまるで違うのです。正直、驚きと不安を感じました。
 朗読会の準備期間は約一ヶ月と限られています。企画はすぐに動き出しました。制作統括、演出、効果、技術、と役割を大きく4つに分け、各担当者たちが授業外でも準備に励みました。私は、制作統括部のチーフを務めました。いわゆる、プロデューサーです。
 授業で最初に行った通しリハーサルは、完成に程遠く、焦りを感じました。でも、躊躇はしていられません。そのリハーサルを終えた頃から、みんなの様子が変わりました。足りない素材や小物の制作、進行台本の確認、校正を急ピッチで進めるなど、各担当部署の人間たちの責任感がそれまでよりも大きくなった気がします。
 その甲斐あって、朗読作品はもちろん、朗読会自体を完成に近づけることができ、本番を無事迎えることができました。
 本番当日(2008年12月19日)は、学内のスタジオに会場を作り、そこに30名ほどの児童を招待するかたちで朗読会を行いました。元気いっぱいの児童と触れ合いながら、自分たち自身も心からこの会を楽しもうと、今まで準備してきたことを出し尽くしました。
 約一ヶ月と短い期間での企画・制作でしたが、今後、自分たちが音響表現に取り組む上で可能性を広げることができ、良い経験になりました。